お米の話 旬と引き換えに

旬と引き換えに

お米の話 旬と引き換えに

野菜や魚には旬があります。最も生産量が多く、おいしくて栄養豊富な時期ですね。

値段も安くなって、好物の旬が近づくと本当に楽しみです。

ここ房総では、夏が近づくとカツオが旬を迎え、勝浦の魚屋さんはカツオで溢れました(過去形)。

店先の大きな樽には、太ったカツオが頭から次々と突っ込まれて積み上がり、そこに氷をかけたカツオタワーがそびえていました。

そこからシッポをつかんで引き抜いて、信じられないような安価で買い求め、その晩はもちろんカツオのタタキ。おいしさに感動でした。

現在では、冷凍・流通技術の進歩のお陰で、カツオタワーは見かけなくなり、値段も安定しました。漁師さんたちにとっては喜ぶべき変化ですが、あの沸き立つような旬を懐かしく思うのは、私だけではないと思います。

かつて新米を初めて食べたときの、踊り出したくなるような感動的おいしさも、過去のものかもしれません。お米の味は、品種改良や栽培技術の進歩などによって向上し、低温保存の普及で年間を通して低下しません。そのお陰で、新米への感動も小さめになった気がします。

多くのピークがならされて、同じもがいつも食べられる。
それは進歩には違いありませんが、旬の感動と引き換えに得たものと言えそうですね。

水上第2営農組合(伊藤)