お米の話 「砂を噛む」は、もはや死語?

砂を噛む

お米の話 「砂を噛む」は、もはや死語?

砂を噛む…とは、ご飯に混入した砂粒を、突然、ガリッと噛んでしまった時になぞらえて、やり切れないような味気なさや、無味乾燥の興ざめした気分を表す慣用句ですよね。

稲刈りや籾すりなどの作業中に、微量の砂粒がお米に混入してしまうことがあります。
どんなに注意しても、これを完全に防ぐのは困難です。そして一旦お米に混入した砂粒は、完全に取り除くのも困難で、昔からご飯を食べるときに、年に一度くらいは砂を噛んだものです。
これは避けられないことと受け止められていて、慣用句にもなったのでしょう。

しかし近年、「色彩選別機」や「石抜き機」といった、米粒レベルで異物を取り除ける精密機器が開発されて、広く現場に普及しました。
これによって砂粒は、ほぼ完全に取り除けるようになり、砂を噛むという経験自体が、ほとんど消滅しました。私も、もう何年も砂を噛んでいません。

そのためか、慣用句の意味あいも変化したようです。
最近の文化庁調査では、「砂を噛む」は、「とても悔しい思い」を表すというのが多数派だというから驚きです。
本来の意味の「砂を噛む」は、ほぼ死語になったのです。お米の品質向上は、慣用句の意味すら変えてしまったようです。

水上第2営農組合(伊藤)